ある時とても怠け者の男が亡くなった
七つの大罪の中に、怠惰というのが入っているけれど
この男は他の分野で、この罪を帳消しにしたので
天国に行かなければならない定めだった
「天国に行け!」と言われても…
怠け者の男は天国と地獄の別れ道で
ごろりと横たわり、千年もの間寝てしまった
いくら、時間が無意味な、あの世でも
それだけ寝ていれば飽きてしまう
天国は自分の性に合わないと思った男は
地獄へ行く道を選んだけれど
そんなことをしたって、着いた先は結局は天国だった
神は万能だから、怠け者の男が
何をするか、ぐらいお見通しだったからね
天国というところは退屈な処でね
許される行為は「愛」だけだった
皆、「織姫」って知っているかな?
そう、一年に一度だけ
牽牛に逢えるのだけれど
何故そうなったかというと、織姫と牽牛があまりにも
仲良しで、天上の仕事を疎かにしたので
そんなに怠けるものには…と
神に引き離され、罰として一年に一度しか逢えない様にされた訳
さて、ここからが本題なんだけれど
星にも何時か終わりが来るでしょう?
織姫が亡くなり、
天上から天国に行かねばならなくなりました
天上は六道輪廻の内にあり、
永遠の居場所ではないからね
ちなみに彼女は百年の眠りを
天国と地獄の分れ道でやったんだよ
それで、どうなったかというと
天国で織姫より先についていた怠け者の男と
愛の日々を送ったわけ
天国は天上と異なり、仕事なんか誰もしなくて良いからね
聡明な読者はもう気が付いていると思うけれど
その怠け者の男は
織姫より先にきていた牽牛だったのさ
二人共、毎日毎日、寝坊して、愛の日々を送ったんだよ
別伝・My story of love 12