秋が過ぎ森に冬がやってきた。
大きな城があるのに、住む人が誰も居ない。
身につける宝石は山の様にあるが、見せる相手がいない。

あたたかさが欲しい、、人肌の温みが欲しい、、、。
永遠の生命の代償が、
決して満たされることのない欲望であることを、
哀しい元天使は知らなかった。

快い温かさが、寒さと熱さの間にある、まるで奇跡の様な
短い休息の時である事を、
幼く美しい吸血鬼は
未だその時は知らなかった。





back    next