「森に住んでいた美しい吸血鬼」







その森には羽の生えた美しい美しい吸血鬼が住んでいた。
天上に住んでいたのだけれど、ある日間違えて足を踏み外し
この森に堕ちてしまった。

その森にはとても怖い、良い吸血鬼の城があり
堕ちて、気絶している天使を捕らえて
まるで熟柿を両手で揉むように柔らかくして、
皮の小さな穴から、種まで吸い出してしまった。

それ以来美しい天使は、良い女性の吸血鬼になってしまったが、
この森はあまりにも深く、人外魔境の為
血を吸わせてくれる人間が訪れてくれなかった。

とても怖くて良い吸血鬼は一体何処に隠れたのか、
それ以来姿を見せなかった。
一人ぼっちの元天使の吸血鬼が城の門の前に座っている。
来る日も来る日も、ただ座っていた。








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ここに使用してある絵と背景は Azusa  さんの創作によるものです。物語は僕が創作しました。