「カタツムリの恋文」
……一行おきにMの詩が覗く……



どれほど長い間私は待っていたことだろう
甘美な愛の魔法に捕らわれて

だがこの呪縛は私が望んだもの
身じろぎひとつせずに、夜を待つ
身動きしたなら、きっと夢が覚めてしまうから


…すると、コートの男が語りかける
私の身体は暖炉の火の様だというのにのに、彼はコ−トを着ている…!

「お嬢さん、こんな時間に眠らずにいるのは
良い吸血鬼と悪魔の申し子、そして
秘密の恋人達と魔法使いくらいなものだよ」…と

「蝙蝠傘は一族の紋章、今宵吸血鬼に戻る時」
私は頬を赤らめる


良い吸血鬼の種族は、互いに血を啜り合い、愛の円環の内に生きて行く…
おぉ!だからこそ!
私は長いこと手紙を書き続けたのです…

流星のように私に降りそそぐ
あなたの瞳の煌きと
愛の囁きを待ち侘びて

今あなたと私は
漆黒の夜に浮かぶ !


そして溜息で綴られた
カタツムリの恋文を二人で見つめている…。


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