私は、魔女と妖精と人魚にしか出会わない定めを負った者である
未だ若かった頃、白い衣を身に纏ったス−という魔女に出会った事がある
肩を揉んであげたお礼に、彼女は僕に奇妙な話を語ってくれた
「もしあなたが、人魚に恋する事があったなら
その人魚の背中に口づけをしてから
次の様な呪文を唱えなさい」
「人の世で言葉を口にすると、
海の泡になる呪いを背負った、古代の海に生まれし者よ、白き羽生え出よ」…と
呪いを消すには人魚の天使にならねばならないからね
……… ………
もしも子供の頃に
この呪文を知っていたなら
磯で泣いていた人魚の背中に
口づけをして
その呪文を唱えてあげたのにと
今でも時々思うことがある